つらい五十肩、両肩に発症する原因とは?改善方法もご紹介

つらい五十肩、しかも両肩に発症したら、日常生活にも大きな支障が出てしまいますよね。 この痛みは一体何が原因で、どうすれば改善できるのでしょうか? この記事では、五十肩の原因を、加齢や姿勢、運動不足、ストレス、糖尿病などの基礎疾患といった様々な側面から詳しく解説します。さらに、肩関節の使い過ぎや怪我との関係、内分泌系の変化との関連性など、両肩に五十肩が起こるメカニズムを分かりやすくご説明します。五十肩になりやすい人の特徴や、病院で行われる診断方法(問診、身体診察、画像検査)についても網羅的に解説。そして、五十肩の改善策として、ご自宅でできるストレッチや筋力トレーニング、日常生活での注意点、効果的なツボ(肩井、天池、缺盆)なども具体的にご紹介。薬物療法、注射療法、理学療法、運動療法、手術療法といった五十肩の治療方法についても解説することで、ご自身に最適な治療法を選択する際の一助となるでしょう。五十肩の予防方法についても触れているので、健康な肩を維持するためにも、ぜひ最後までお読みください。

1. 五十肩とは?

五十肩は、正式には肩関節周囲炎と呼ばれ、肩関節とその周囲の組織に炎症や痛み、運動制限が生じる疾患です。40歳代から50歳代に多く発症することから「五十肩」という俗称で広く知られていますが、医学的な正式名称ではありません。原因は明確に特定されていないことが多いですが、加齢に伴う肩関節周囲の組織の変性や、肩への負担、血行不良などが関係していると考えられています。肩関節周囲炎は、肩関節の動きに関わる筋肉、腱、靭帯、関節包、滑液包などが炎症を起こし、癒着することで痛みが生じ、腕が上がらなくなったり、肩を回せなくなったりするなどの運動制限を引き起こします。夜間に痛みが強くなるのも特徴の一つです。自然に治癒するケースもありますが、適切な治療を行わないと痛みが慢性化したり、関節の可動域が制限されたままになる可能性もあります。そのため、早期の診断と適切な治療が重要です。

1.1 五十肩の症状

五十肩の主な症状は、肩の痛みと運動制限です。痛みは、安静時にも感じられる場合があり、特に夜間や明け方に強くなる傾向があります。また、腕を上げたり、後ろに回したりする動作が困難になります。具体的な症状は以下の通りです。

  • 安静時痛:特に夜間や明け方に強い
  • 運動時痛:腕を動かすと痛む
  • 運動制限:腕が上がらない、後ろに回せない、服の着脱が困難
  • 肩の違和感:こわばり、重だるさ
  • 関連痛:首や腕、背中に痛みやしびれが広がる場合もある

これらの症状は、炎症の程度や経過によって変化します。初期は激しい痛みを伴うこともありますが、徐々に痛みが軽減し、可動域が改善していくケースが多いです。しかし、適切な治療を行わないと、痛みが慢性化したり、関節の可動域が制限されたままになることもあります。

1.2 五十肩の経過

五十肩の経過は、一般的に以下の3つの時期に分けられます。

時期期間症状
1.2.1 急性期約2週間~3ヶ月炎症が強く、激しい痛みと運動制限がある。夜間痛が顕著。
1.2.2 慢性期約3ヶ月~6ヶ月痛みはやや軽減するが、運動制限は続く。肩関節周囲の組織が癒着し、可動域が狭くなる。
1.2.3 回復期約6ヶ月~2年痛みと運動制限が徐々に改善し、肩関節の機能が回復していく。

急性期は、炎症が強く、激しい痛みと運動制限があります。この時期は、安静を保ち、痛みを抑えることが重要です。慢性期になると、痛みはやや軽減しますが、運動制限は続きます。肩関節周囲の組織が癒着し、可動域が狭くなるため、積極的にリハビリテーションを行う必要があります。回復期には、痛みと運動制限が徐々に改善し、肩関節の機能が回復していきます。個人差がありますが、約1年~2年で完治するケースが多いです。ただし、適切な治療を行わないと、慢性的な痛みが残ったり、関節の可動域が制限されたままになる可能性もあります。また、再発することもありますので、注意が必要です。

2. 両肩に五十肩が発症する原因

五十肩は片側の肩に発症することが多いですが、両肩に同時に、あるいは片側が治った後に反対側の肩にも発症することがあります。両肩に五十肩が発症する原因は片側の場合と同様で、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。以下に主な原因を詳しく解説します。

2.1 加齢による変化

加齢に伴い、肩関節周囲の組織は柔軟性を失い、炎症を起こしやすくなります。腱や靭帯、関節包などの組織の劣化は、肩の動きを制限し、痛みを引き起こす原因となります。特に、40代以降は肩関節周囲の組織の老化が顕著になるため、五十肩のリスクが高まります。

2.2 肩関節の使い過ぎ

野球やバレーボール、水泳など、肩関節を大きく動かすスポーツや、重いものを持ち上げる作業、繰り返しの動作が多い仕事などは、肩関節に負担をかけ、炎症を引き起こす可能性があります。過度な負担は腱板断裂や滑液包炎などの原因にもなり、それが五十肩の引き金となることもあります。

2.3 肩関節の怪我

転倒や打撲などによる肩関節の怪我は、関節周囲の組織に損傷を与え、炎症や痛みが発生しやすくなります。骨折や脱臼だけでなく、軽微な怪我でも後遺症として五十肩を発症するケースがあります。適切な治療とリハビリテーションが重要です。

2.4 姿勢の悪さ

猫背や巻き肩などの姿勢の悪さは、肩甲骨の位置がずれて肩関節の可動域を狭め、肩関節周囲の筋肉や腱に負担をかけます。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は姿勢が悪化しやすく、五十肩のリスクを高める要因となります。

2.5 運動不足

運動不足は肩関節周囲の筋肉の柔軟性や筋力を低下させ、血行も悪化させます。肩関節の安定性が低下し、軽微な刺激でも炎症を起こしやすくなり、五十肩の発症リスクを高めます。適度な運動は肩関節の健康維持に不可欠です。

2.6 ストレス

ストレスは自律神経のバランスを崩し、筋肉の緊張を高め、血行不良を引き起こします。肩こりや首こりを悪化させるだけでなく、五十肩の発症や症状の悪化にも繋がることがあります。ストレスを適切に管理することが重要です。

2.7 内分泌系の変化

更年期障害による女性ホルモンの減少は、肩関節周囲の組織の修復機能を低下させ、炎症を起こしやすくする可能性があります。女性に五十肩が多い一因と考えられています。また、甲状腺機能低下症なども五十肩のリスクを高める可能性があります。

2.8 糖尿病などの基礎疾患

糖尿病は、末梢神経障害や血管障害を引き起こし、肩関節周囲の組織への血流を阻害し、組織の修復を遅らせます。糖尿病患者は五十肩を発症しやすく、症状が重症化しやすい傾向があります。血糖値のコントロールが重要です。

原因詳細
加齢による変化肩関節周囲の組織の柔軟性低下、炎症の発生
肩関節の使い過ぎ腱板断裂、滑液包炎などのリスク増加
肩関節の怪我後遺症として五十肩を発症する可能性
姿勢の悪さ肩甲骨の位置ずれ、肩関節への負担増加
運動不足肩関節の安定性低下、炎症の発生
ストレス自律神経の乱れ、肩こり悪化
内分泌系の変化女性ホルモンの減少、組織修復機能の低下
糖尿病などの基礎疾患末梢神経障害、血管障害による血流阻害

3. 五十肩になりやすい人の特徴

五十肩は誰にでも起こりうる疾患ですが、特に以下の特徴に当てはまる人は発症リスクが高くなります。日常生活における習慣や身体的特徴から、自分が当てはまるかどうか確認してみましょう。

3.1 年齢

五十肩は、その名前が示す通り40代~50代に最も多く発症します。加齢に伴う肩関節周囲の組織の変性が主な原因と考えられています。ただし、近年では30代や60代以降の発症も増えており、年齢だけで判断することはできません。40代~50代の方は特に注意が必要です。

3.2 性別

統計的に見ると、五十肩は女性に多く発症する傾向があります。女性ホルモンの変動や、男性に比べて筋力が弱いことなどが影響していると考えられています。閉経前後の女性は特に注意が必要です。

3.3 生活習慣

3.3.1 デスクワーク

長時間同じ姿勢でのデスクワークは、肩関節周囲の筋肉の緊張や血流の悪化を招き、五十肩のリスクを高めます。パソコン作業やスマートフォンの長時間使用は要注意です。こまめな休憩やストレッチを取り入れるようにしましょう。

3.3.2 運動不足

運動不足も五十肩のリスクを高める要因の一つです。肩関節周囲の筋肉が弱くなると、関節の安定性が低下し、炎症や痛みが発生しやすくなります。日常的に適度な運動を心がけ、肩関節周りの筋肉を鍛えることが大切です。

3.3.3 睡眠不足

睡眠不足は身体の回復力を低下させ、炎症を悪化させる可能性があります。質の良い睡眠を十分に取ることで、肩関節の修復を促し、五十肩の予防・改善に繋がります。

3.3.4 喫煙習慣

喫煙は血行を悪化させ、肩関節周囲の組織への酸素供給を阻害します。結果として、組織の修復が遅れ、五十肩の症状が悪化しやすくなります。禁煙を心がけましょう。

3.4 身体的特徴

3.4.1 猫背

猫背などの不良姿勢は、肩甲骨の位置がずれる原因となり、肩関節の動きを制限し、負担をかけます。正しい姿勢を意識することで、五十肩の予防に繋がります。

3.4.2 なで肩

なで肩の人は肩関節が不安定になりやすく、五十肩を発症しやすい傾向があります。肩甲骨周りの筋肉を鍛えることで、肩関節を安定させ、五十肩の予防に繋がります。

3.4.3 肩関節の柔軟性

肩関節の柔軟性が低い人は、関節の可動域が狭く、五十肩になりやすい傾向があります。ストレッチなどで柔軟性を高めることが重要です。

3.5 既往歴

過去に肩関節を怪我したことがある人や、頸椎症、糖尿病、甲状腺機能低下症などの疾患がある人は、五十肩を発症するリスクが高くなります。基礎疾患がある場合は、医師に相談しながら適切な治療を行いましょう。

特徴詳細
40代~50代加齢による肩関節周囲の組織の変性が原因
女性女性ホルモンの変動や筋力低下が影響
デスクワーク中心の人長時間同じ姿勢での作業で肩関節周囲の筋肉が緊張
運動不足の人肩関節周囲の筋肉が弱くなり関節の安定性が低下
睡眠不足の人身体の回復力が低下し、炎症が悪化
喫煙習慣のある人血行が悪化し、肩関節周囲の組織への酸素供給が阻害
猫背の人肩甲骨の位置がずれて肩関節の動きを制限
なで肩の人肩関節が不安定になりやすい
肩関節の柔軟性が低い人関節の可動域が狭く、負担がかかりやすい
肩関節の怪我の既往歴がある人過去の怪我の影響で肩関節が不安定になっている可能性
頸椎症、糖尿病、甲状腺機能低下症などの疾患がある人基礎疾患が五十肩の発症リスクを高める可能性

上記の特徴に当てはまる方は、五十肩の予防を意識した生活を心がけることが大切です。少しでも違和感を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。

4. 五十肩の診断方法

五十肩の診断は、主に問診、身体診察、画像検査によって行われます。確定診断のための特別な検査はなく、他の疾患の可能性を除外しながら、症状や診察所見から総合的に判断されます。

4.1 問診

医師はまず、患者さんの症状について詳しく問診を行います。具体的には、いつから痛み始めたのか、どのような時に痛みが増強するのか、痛みの程度、肩の動きの制限の程度、日常生活への影響などを確認します。痛みの種類(鋭い痛み、鈍い痛みなど)、夜間痛の有無、既往歴なども重要な情報です。

4.2 身体診察

問診に続いて、医師は肩関節の動きを実際に確認する身体診察を行います。五十肩では、肩関節の動きが様々な方向に制限されることが特徴です。特に、腕を外側に上げる(外転)、内側に回す(内旋)、外側に回す(外旋)といった動作が制限される場合、五十肩の可能性が高くなります。これらの動作を医師の指示に従って行い、痛みの程度や可動域を評価します。また、肩関節周囲の筋肉の緊張や圧痛の有無なども確認します。下記の表に、主な検査項目と五十肩の特徴的な所見を示します。

検査項目五十肩の特徴的な所見
外転腕を外側に上げる動作が制限され、痛みを伴う
内旋腕を内側に回す動作が制限され、痛みを伴う
外旋腕を外側に回す動作が制限され、痛みを伴う
屈曲腕を前に上げる動作が制限される場合もある
伸展腕を後ろに伸ばす動作が制限される場合もある
Apleyテスト(掻爬テスト)患側の腕を背中に回し、反対側の肩甲骨に手を届かせる動作が困難になる
Neer impingement test腕を内旋位で強制的に挙上することで痛みが増強する
Hawkins-Kennedy test肘を90度に曲げ、肩を前方90度に屈曲した状態で、前腕を内旋させると痛みが増強する

4.3 画像検査

五十肩の診断において、画像検査は必ずしも必要ではありません。しかし、他の疾患(例えば、頸椎椎間板ヘルニア、腱板断裂、石灰沈着性腱板炎など)との鑑別や、五十肩の重症度を評価するために実施されることがあります。一般的には、X線検査やMRI検査が行われます。X線検査では、骨の状態や関節の隙間などを確認できます。MRI検査では、腱板や関節包などの軟部組織の状態を詳細に確認できます。石灰沈着性腱板炎の場合は、X線検査で石灰化病変が確認できます。また、MRI検査では、腱板断裂の有無や炎症の程度などを確認できます。これらの画像検査の結果を総合的に判断することで、より正確な診断が可能となります。

5. 五十肩の治療方法

五十肩の治療は、症状の程度や経過、患者の状態によって適切な方法が選択されます。大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。

5.1 保存療法

保存療法は、手術を行わずに痛みや炎症を抑え、肩関節の動きを改善することを目的とした治療法です。ほとんどの五十肩は保存療法で改善します。

5.1.1 薬物療法

痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されます。内服薬だけでなく、湿布薬や塗り薬なども用いられます。痛みが強い場合には、 opioid系の鎮痛薬が処方されることもあります。

5.1.2 注射療法

炎症や痛みを抑えるために、肩関節内にステロイド注射やヒアルロン酸注射を行うことがあります。ステロイド注射は強力な抗炎症作用がありますが、副作用のリスクもあるため、医師の指示に従って行われます。ヒアルロン酸注射は、関節の動きを滑らかにする効果が期待されます。

5.1.3 理学療法

温熱療法、冷却療法、電気療法、超音波療法など、物理的な刺激を用いて痛みや炎症を軽減し、肩関節の動きを改善する治療法です。理学療法士による指導のもと、適切な治療が行われます。

5.1.4 運動療法

肩関節の柔軟性や筋力を回復させるための運動療法は、五十肩の治療において非常に重要です。無理のない範囲で、肩関節の可動域を広げる運動や筋力トレーニングを行います。理学療法士や医師の指導のもと、個々の状態に合わせた適切な運動プログラムが作成されます。自宅で行える運動も指導されるので、継続して行うことが大切です。

運動療法の種類効果注意点
ストレッチ肩関節の柔軟性を高める痛みを感じない範囲で行う
筋力トレーニング肩関節周囲の筋力を強化する適切な負荷で行う
可動域訓練肩関節の動きを改善する無理に動かさない

5.2 手術療法

保存療法で十分な効果が得られない場合や、関節が拘縮して日常生活に支障が出ている場合には、手術療法が検討されます。手術療法には、関節鏡視下手術人工関節置換術などがあります。関節鏡視下手術は、小さな切開部から関節鏡を挿入し、関節内の癒着を剥離する手術です。人工関節置換術は、損傷した関節を人工関節に置き換える手術です。手術療法は、専門の医師による適切な診断と治療が必要です。

五十肩の治療は、早期に開始することが重要です。症状が軽いうちに適切な治療を受けることで、早期回復が見込めます。肩に痛みや違和感を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。

6. 五十肩の改善方法

五十肩の改善には、肩関節の柔軟性を高めるストレッチ、周囲の筋肉を強化する筋力トレーニング、日常生活での注意点を守る事が重要です。これらの方法を組み合わせて行うことで、より効果的に改善を目指せます。

6.1 ストレッチ

五十肩の痛みを和らげ、肩関節の動きをスムーズにするためには、ストレッチが効果的です。無理のない範囲で、毎日継続して行うことが大切です。痛みが増強する場合は、中止してください。

6.1.1 肩甲骨はがしストレッチ

肩甲骨を動かすことで、肩関節の可動域を広げます。肩甲骨を意識的に動かすことで、周辺の筋肉の緊張をほぐし、血行を促進します。

  1. 両手を前に伸ばし、手のひらを合わせます。
  2. 息を吸いながら、両腕を頭上に持ち上げます。
  3. 息を吐きながら、両肘を曲げ、肩甲骨を寄せます。
  4. この動作を5~10回繰り返します。

6.1.2 タオルを使ったストレッチ

タオルを使うことで、無理なく肩関節の可動域を広げられます。特に、腕を後ろに回す動作が難しい場合に効果的です。

  1. タオルの両端を持ち、背中に回します。
  2. 上の手でタオルを上に引き上げ、下の腕は下に引っ張ります。
  3. この状態を10~20秒キープします。
  4. 反対側も同様に行います。
  5. これを数回繰り返します。

6.1.3 壁を使ったストレッチ

壁を使うことで、肩関節の屈曲や外転のストレッチができます。自分の体の状態に合わせて、壁との距離を調整することで、ストレッチの強度を調整できます。

  1. 壁の前に立ち、腕を肩の高さで壁につけます。
  2. 壁につけた手を少しずつ上に滑らせていきます。
  3. 痛みを感じない範囲で、できるだけ高く手を伸ばします。
  4. この状態を10~20秒キープします。
  5. これを数回繰り返します。

6.2 筋力トレーニング

肩関節周囲の筋肉を強化することで、肩関節を安定させ、再発を予防します。軽い負荷から始め、徐々に負荷を上げていくことが大切です。

6.2.1 チューブを使ったトレーニング

チューブを使うことで、肩関節のインナーマッスルを強化できます。インナーマッスルを鍛えることで、肩関節の安定性が向上します。

トレーニング名方法
内旋トレーニングチューブを固定し、肘を90度に曲げた状態で、チューブを内側に引きます。
外旋トレーニングチューブを固定し、肘を90度に曲げた状態で、チューブを外側に引きます。

6.2.2 ダンベルを使ったトレーニング

ダンベルを使うことで、アウターマッスルを強化できます。無理のない重さから始め、徐々に重さを増やしていくことが大切です。

トレーニング名方法
サイドレイズダンベルを両手に持ち、腕を横に上げます。
フロントレイズダンベルを両手に持ち、腕を前に上げます。

6.3 日常生活での注意点

日常生活での注意点を守ることで、五十肩の悪化や再発を予防できます。正しい姿勢を保ち、肩に負担をかけないように意識することが大切です。

  • 重い荷物を持つ際は、両肩に均等に重さがかかるようにリュックサックを使用する。
  • 長時間同じ姿勢を続けないように、こまめに休憩を取り、軽いストレッチを行う。
  • 猫背にならないように、正しい姿勢を意識する。
  • 入浴などで体を温め、血行を促進する。
  • 痛みがあるときは、無理に動かさないようにする。

7. 五十肩の予防方法

五十肩は、一度発症すると日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。そのため、日頃から予防を心がけることが重要です。五十肩の予防には、肩関節の柔軟性を維持し、周囲の筋肉を強化することが効果的です。また、生活習慣の改善も重要です。具体的な予防方法を以下に詳しく解説します。

7.1 適度な運動

肩関節周囲の筋肉を鍛え、柔軟性を保つためには、適度な運動が不可欠です。激しい運動は必要ありません。ウォーキングや水泳など、無理なく続けられる運動を選びましょう。肩甲骨を意識的に動かす運動も効果的です。

7.1.1 おすすめの運動

運動の種類効果注意点
ウォーキング全身の血行促進、肩関節の動きの改善正しい姿勢を意識する
水泳肩関節への負担が少ない、肩甲骨の可動域向上水温に注意する
ラジオ体操全身のストレッチ、肩関節の柔軟性向上毎日続ける
肩甲骨回し肩甲骨周りの筋肉の強化、柔軟性向上無理なく行う

7.2 正しい姿勢

猫背や巻き肩などの悪い姿勢は、肩関節に負担をかけ、五十肩の原因となります。日頃から正しい姿勢を意識しましょう。パソコン作業やスマートフォンの使用時には、こまめに休憩を取り、姿勢を正すように心がけてください。また、自分に合った高さの机や椅子を使用することも重要です。

7.2.1 正しい姿勢のポイント

  • 耳、肩、腰、くるぶしが一直線になるように立つ
  • 顎を引いて、目線は正面に向ける
  • 肩の力を抜いて、リラックスする

7.3 ストレッチ

肩関節の柔軟性を維持するために、ストレッチも効果的です。お風呂上がりなど、体が温まっている時に行うとより効果的です。無理に伸ばすと逆効果になる場合があるので、痛みを感じない範囲で行いましょう。ストレッチは毎日継続することが大切です。

7.3.1 おすすめのストレッチ

ストレッチの種類方法注意点
肩回し両腕を大きく回す前回し、後ろ回し両方行う
腕のストレッチ片腕を胸の前で伸ばし、反対の手で肘を押さえる10~20秒程度保持する
首のストレッチ頭を左右にゆっくり倒す痛みを感じない範囲で行う

これらの予防方法を実践することで、五十肩の発症リスクを軽減することができます。日常生活の中で意識的に取り組むことが大切です。すでに五十肩の症状がある場合は、自己判断で対処せず、医療機関を受診しましょう。

8. 両肩の五十肩に効果的なツボ

五十肩の痛みを和らげるには、ツボ押しも効果的です。特に両肩に五十肩を発症している場合は、左右対称にあるツボを刺激することで、より効果が期待できます。ここでは、両肩の五十肩に効果的なツボを3つご紹介します。

8.1 肩井(けんせい)

肩井は、肩の真ん中にあるツボです。肩こりや頭痛にも効果があると言われています。肩井を押すことで、肩周りの筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することができます。五十肩の痛みだけでなく、肩こりや頭痛にも悩まされている方は、ぜひ試してみてください。

肩井の探し方:首の付け根と肩先の中間地点に位置します。肩をすくめたときに最も高く盛り上がる部分です。

肩井の押し方:人差し指、中指、薬指の3本を揃えて、垂直にゆっくりと押します。気持ち良いと感じる程度の強さで、5秒ほど押してからゆっくりと離します。これを数回繰り返します。入浴後など、体が温まっているときに行うのが効果的です。

8.2 天髎(てんりょう)

天髎は、肩甲骨の上部にあるツボです。肩甲骨の動きをスムーズにする効果があります。天髎を押すことで、肩甲骨周りの筋肉の緊張を和らげ、肩関節の可動域を広げることができます。五十肩によって肩の動きが制限されていると感じている方は、試してみてください。

天髎の探し方:肩甲骨の上角から指2本分外側、僧帽筋という筋肉の奥にあります。肩を回したり腕を動かしたりすると、筋肉の動きに合わせてツボの位置が分かります。

天髎の押し方:親指を使って、ゆっくりと垂直に押します。気持ち良いと感じる程度の強さで、5秒ほど押してからゆっくりと離します。これを数回繰り返します。左右同時に押すことも効果的です。

8.3 缺盆(けつぼん)

缺盆は、鎖骨の上にあるツボです。肩や首の痛み、呼吸器系の症状にも効果があると言われています。缺盆を押すことで、肩や首の筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することができます。五十肩だけでなく、首こりや呼吸が浅いといった症状にも悩まされている方は、試してみてください。

缺盆の探し方:鎖骨の上外端、鎖骨と肩の筋肉の境目にあります。軽く指で押すと、脈を打つのが感じられる場所です。

缺盆の押し方:中指または人差し指を使って、垂直にゆっくりと押します。気持ち良いと感じる程度の強さで、5秒ほど押してからゆっくりと離します。これを数回繰り返します。ただし、缺盆はデリケートなツボなので、強く押しすぎないように注意しましょう。

これらのツボは、五十肩の痛みを和らげるだけでなく、肩こりや頭痛、呼吸器系の症状にも効果があります。ツボ押しは手軽に行える健康法なので、日常生活に取り入れて、健康管理に役立ててください

ツボ位置効果押し方
肩井首の付け根と肩先の中間地点肩こり、頭痛、五十肩の痛み人差し指、中指、薬指の3本で垂直に押す
天髎肩甲骨の上角から指2本分外側肩甲骨の動きをスムーズにする、肩関節の可動域を広げる親指で垂直に押す
缺盆鎖骨の上外端肩や首の痛み、呼吸器系の症状、五十肩の痛み中指または人差し指で垂直に押す

注意点:妊娠中の方や、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。また、ツボ押しで強い痛みを感じた場合は、すぐに中止してください。ツボ押しはあくまで補助的な方法であり、五十肩の根本的な治療にはなりません。症状が改善しない場合は、医療機関を受診するようにしてください。

9. まとめ

この記事では、五十肩、特に両肩に発症する原因や改善策、予防法について解説しました。五十肩は、40~50代に多く発症し、肩関節の痛みや運動制限を引き起こす疾患です。加齢や肩関節の使い過ぎ、怪我、姿勢の悪さ、運動不足、ストレス、内分泌系の変化、糖尿病などの基礎疾患が原因となることがあります。特に、デスクワーク中心で運動不足の女性は発症リスクが高いため注意が必要です。

五十肩の改善には、ストレッチや筋力トレーニング、日常生活での注意点への配慮が重要です。肩甲骨はがしやタオル、壁を使ったストレッチ、チューブやダンベルを用いたトレーニングなどが効果的です。また、肩井、天池、缺盆などのツボ押しも症状緩和に役立ちます。五十肩を予防するためには、適度な運動、正しい姿勢の維持、日々のストレッチの実施が大切です。五十肩の症状がつらい場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

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