ゴルフ肘はどの病院の何科へ?失敗しない選び方と治療の流れ

ゴルフ肘の痛みにお悩みではありませんか?「どの病院の何科に行けば良いのか」「失敗しない病院選びのポイントは?」と迷う方も多いでしょう。この記事では、ゴルフ肘の症状を感じた際に、まず受診を検討すべき整形外科をはじめ、専門的なアプローチが期待できる病院選びのポイントを詳しく解説します。適切な診断と治療を受けるための流れや、日々の予防策まで網羅していますので、あなたのゴルフ肘改善への第一歩を力強くサポートします。安心して治療に専念できるよう、失敗しない病院選びの知識を深めていきましょう。

1. ゴルフ肘とは?基本を知ろう

ゴルフ肘は、正式には上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)と呼ばれる肘の障害です。ゴルフ愛好家によく見られることからこの通称で親しまれていますが、ゴルフ以外の原因でも発症することがあります。手首や指を曲げる動作を繰り返すことで、肘の内側にある腱に炎症が起き、痛みを引き起こすのが特徴です。

この状態を放置すると、日常生活での不便さが増すだけでなく、ゴルフをはじめとするスポーツ活動の継続が困難になる場合もあります。早期に自身の状態を把握し、適切な対応を検討することが大切です。

1.1 ゴルフ肘の主な症状と自己診断のポイント

ゴルフ肘の症状は、肘の内側に現れる痛みが中心です。初期段階では軽い違和感程度でも、進行すると日常生活に支障をきたすほどの強い痛みになることがあります。

具体的な症状と、ご自身で確認できる自己診断のポイントを以下に示します。

  • 肘の内側の痛み: 特にゴルフスイングのインパクトからフォロースルーにかけて、またはダフった際に痛みを感じることが多いです。
  • 物を持ち上げる動作での痛み: ドアノブを回す、タオルを絞る、フライパンを持つなど、手首をひねったり、指を強く握ったりする動作で肘の内側に痛みが走ります。
  • 前腕の筋肉の張りやだるさ: 肘だけでなく、前腕全体にだるさや重さを感じることがあります。
  • 握力の低下: 痛みによって、物をしっかり握ることが難しくなる場合があります。
  • 安静時にも痛む場合: 症状が進行すると、安静にしていても鈍い痛みを感じることがあります。

これらの症状に心当たりがある場合は、以下の自己診断のポイントを試してみてください。

  • 肘の内側を押す: 肘の内側の骨の突出した部分(上腕骨内側上顆)の少し下を押すと痛みがあるか確認します。
  • 手首を手のひら側に曲げる: 肘を伸ばした状態で、もう片方の手で手首を手のひら側にゆっくりと曲げると、肘の内側に痛みが増すか確認します。
  • 指を握り込む: 肘を伸ばした状態で、指をぎゅっと握り込んだり、強く物を掴んだりすると痛みが増すか確認します。

これらの動作で痛みが生じる場合、ゴルフ肘の可能性が考えられます。痛みが続くようであれば、専門家への相談を検討しましょう。

1.2 ゴルフ肘になる原因とテニス肘との違い

ゴルフ肘は、主に手首や指を曲げる筋肉(前腕屈筋群)に過度な負担がかかることで発症します。原因は一つだけでなく、複数の要因が絡み合っていることが多いです。

主な原因としては、以下のような点が挙げられます。

  • 繰り返し行われる過度な負担: ゴルフスイング、特にダフりや手打ち、過度なリストターンなど、不適切なフォームでの繰り返し動作は、肘の内側の腱に大きなストレスを与えます。また、重いものを持ち運ぶ、工具を使う、力仕事をするなど、ゴルフ以外の日常生活や仕事での手首や指を酷使する動作も原因となることがあります。
  • 筋力や柔軟性の不足: 前腕の筋肉の筋力不足や、柔軟性の低下があると、腱にかかる負担を吸収しきれずに炎症が起きやすくなります。体幹の安定性不足も、手打ちにつながり、肘への負担を増大させることがあります。
  • 不適切なゴルフギア: ご自身の体格やスイングに合わない重すぎるクラブや、グリップの太さ・素材が不適切な場合も、肘への負担を増加させる要因となります。
  • 加齢による変化: 年齢を重ねるとともに、腱の組織が変性しやすくなり、炎症が起きやすくなる傾向があります。

よく似た症状の肘の痛みとして「テニス肘」がありますが、ゴルフ肘とは痛む場所や原因となる筋肉に違いがあります。

テニス肘は、正式には上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)と呼ばれ、肘の外側に痛みが現れるのが特徴です。これは主に手首や指を伸ばす筋肉(前腕伸筋群)に負担がかかることで生じます。

両者の違いを以下の表にまとめました。

項目ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
痛む場所肘の内側肘の外側
主な原因手首や指を曲げる筋肉(前腕屈筋群)の使いすぎ手首や指を伸ばす筋肉(前腕伸筋群)の使いすぎ
代表的な動作ゴルフスイングのフォロースルー、物を握る、タオルを絞るテニスバックハンドストローク、物を持ち上げる、ドアノブを回す
正式名称上腕骨内側上顆炎上腕骨外側上顆炎

ご自身の痛みがどちらに該当するかを知ることは、適切な対応を考える上で非常に重要です。

2. ゴルフ肘で病院へ行くなら何科が正解?

ゴルフ肘の症状が現れたとき、「一体どの病院の何科を受診すれば良いのだろう」と悩む方は少なくありません。適切な診療科を選ぶことは、早期回復への第一歩となります。ここでは、ゴルフ肘の治療に適した診療科とその特徴について詳しく解説します。

2.1 まずは整形外科を受診するのが一般的

ゴルフ肘は、正式には上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)と呼ばれる、肘の腱や筋肉に炎症が起きる状態です。このような骨、関節、筋肉、腱といった運動器に関わる疾患や外傷は、運動器の専門家が在籍する整形外科が主な診療科となります。

整形外科では、問診や触診に加え、レントゲンやMRIなどの画像検査を通じて、ゴルフ肘の正確な診断を行います。診断後には、痛みや炎症を抑えるための薬物療法や注射療法、物理療法、そしてリハビリテーションなど、様々な保存療法が検討されます。多くの医療機関で、ゴルフ肘の基本的な診断と治療を受けることが可能です。

2.2 スポーツ整形外科を選ぶメリットと専門性

ゴルフ肘がスポーツ活動、特にゴルフのスイング動作によって引き起こされることが多いため、より専門的なアプローチを求める場合は、スポーツ整形外科を選ぶメリットがあります。

スポーツ整形外科は、一般的な整形外科の知識に加え、スポーツ特有の身体の使い方や負荷のメカニズムに精通しています。そのため、ゴルフスイングの動作分析を行い、肘への負担を軽減するための具体的なアドバイスや、競技復帰を見据えた専門的なリハビリテーションプログラムを提供できる点が大きな強みです。

以下に、一般的な整形外科とスポーツ整形外科の主な違いをまとめました。

診療科主な対象専門性
整形外科運動器全般の疾患や外傷骨、関節、筋肉、腱などの診断と治療、一般的な保存療法
スポーツ整形外科スポーツによる運動器の損傷、障害競技復帰を視野に入れた専門的な診断、治療、リハビリテーション、動作分析

2.3 リハビリテーション科の役割と連携

ゴルフ肘の治療において、リハビリテーションは非常に重要な役割を担います。リハビリテーション科は、運動機能の回復や向上を専門とする診療科であり、理学療法士が中心となって治療を進めます。

リハビリテーション科では、個々の症状や身体の状態に合わせて、肘周りの筋肉の柔軟性を高めるストレッチや、筋力を強化するための運動療法、痛みを和らげるための物理療法などが行われます。これにより、症状の改善だけでなく、再発防止やゴルフスイングのパフォーマンス向上にも繋がります。

多くの医療機関では、整形外科やスポーツ整形外科が診断と初期治療を行い、その後の機能回復や再発予防のためにリハビリテーション科と密接に連携しています。複数の専門家が協力し、総合的な視点から治療計画を立てることで、より効果的な回復が期待できます。

3. 失敗しないゴルフ肘の病院選びのポイント

ゴルフ肘の治療は、適切な病院を選ぶことから始まります。あなたの症状を正確に診断し、効果的な治療計画を立ててくれる病院を見つけることは、早期回復への重要な一歩です。ここでは、後悔しない病院選びのために確認すべきポイントを詳しく解説します。

3.1 専門医がいるか?実績と経験を確認する

ゴルフ肘は、上腕骨内側上顆炎や上腕骨外側上顆炎といった専門的な診断が求められる症状です。そのため、スポーツ整形外科医や肘関節を専門とする医師がいる病院を選ぶことが非常に重要です。

専門医は、ゴルフ肘に関する深い知識と豊富な治療経験を持っています。一般的な整形外科医でも対応は可能ですが、より専門的な視点から診断や治療を受けたい場合は、専門医の有無を確認しましょう。

専門医がいるかを確認する際は、以下の点を参考にしてください。

確認ポイント詳細
医師の専門分野病院のウェブサイトやパンフレットで、医師の専門分野や所属学会(例: 日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクターなど)を確認しましょう。肘関節疾患やスポーツ障害に特化した医師であれば、より安心です。
治療実績ゴルフ肘やテニス肘など、肘の痛みの治療実績が豊富であるかを確認します。具体的な症例数や治療方法について、初診時に質問してみるのも良いでしょう。
医師の経験年数経験豊富な医師ほど、多様な症状に対応できる可能性が高いです。長年の臨床経験を持つ医師であれば、より的確な判断が期待できます。

これらの情報を事前に確認することで、より安心して治療を任せられる病院を見つけることができます。

3.2 リハビリテーション設備の充実度と理学療法士の有無

ゴルフ肘の治療において、リハビリテーションは保存療法の要となります。薬物療法や注射療法で一時的に痛みが和らいでも、根本的な原因を取り除き、再発を防ぐためには適切なリハビリテーションが不可欠です。

そのため、リハビリテーション設備が充実しているか、そして専門の理学療法士が常駐しているかは、病院選びの重要なポイントです。

  • リハビリテーション設備の充実度: 低周波治療器、超音波治療器、温熱療法機器などの物理療法機器が揃っているか確認しましょう。また、運動療法を行うためのスペースや器具が十分に確保されているかも重要です。
  • 理学療法士の有無と専門性: 理学療法士は、患者様の身体機能の回復や維持、痛みの軽減をサポートする専門家です。スポーツ障害に詳しい理学療法士がいる病院であれば、より専門的な指導を受けられます。理学療法士が複数名在籍していると、予約が取りやすく、継続的なリハビリを受けやすいメリットもあります。

初診時に、リハビリテーションの具体的な内容や頻度、担当する理学療法士について質問し、納得のいく説明が得られるかを確認することをおすすめします。

3.3 診断方法と治療方針の説明が丁寧か

病院を選ぶ上で、医師があなたの症状に対して、どのような診断を行い、どのような治療方針を提案するのかを、分かりやすく丁寧に説明してくれることは非常に大切です。

診断においては、問診や触診だけでなく、レントゲン検査、MRI検査、超音波検査などを適切に用い、痛みの原因を特定しようと努めているかを確認しましょう。これらの検査結果を基に、現在の状態を具体的に説明してくれる医師は信頼できます。

治療方針についても、保存療法(薬物療法、注射療法、物理療法、リハビリテーションなど)と手術療法それぞれのメリット・デメリット、治療期間、期待できる効果、そして考えられるリスクについて、患者であるあなたが理解できるよう、専門用語を避け、丁寧に説明してくれるかが重要です。

疑問に思ったことや不安な点に対して、真摯に耳を傾け、納得のいくまで説明してくれる医師であれば、安心して治療に専念できるでしょう。セカンドオピニオンの相談にも前向きに応じてくれる姿勢も、信頼できる医師の証と言えます。

3.4 アクセスや通いやすさも考慮に入れる

ゴルフ肘の治療は、一度の受診で終わることは少なく、数週間から数ヶ月にわたる通院やリハビリテーションが必要となる場合があります。そのため、病院のアクセスや通いやすさも、長期的な治療を続ける上で非常に重要な要素となります。

自宅や職場からの距離、公共交通機関の利便性、駐車場の有無などを事前に確認しましょう。通院が負担になると、治療の継続が難しくなり、結果として回復が遅れてしまう可能性もあります。

また、診療時間や予約の取りやすさも確認ポイントです。仕事や日常生活との両立を考え、ご自身のライフスタイルに合った診療体制の病院を選ぶことが大切です。ウェブサイトや電話で、予約システムや待ち時間に関する情報を確認してみるのも良いでしょう。

通いやすい病院を選ぶことで、ストレスなく治療に専念し、ゴルフ肘の早期改善を目指すことができます。

4. ゴルフ肘の診断から治療までの流れ

ゴルフ肘の症状を感じて医療機関を受診した場合、どのような流れで診断が下され、どのような治療が行われるのか、その全体像を理解することは大切です。適切な診断と治療を受けることで、早期の回復と再発防止につながります。

4.1 初診での問診・触診・画像診断

医療機関での初診時には、まず詳細な問診が行われます。いつから、どのような状況で肘の痛みを感じるようになったのか、痛みの性質(鋭い痛み、鈍い痛みなど)、痛む場所、日常生活やゴルフプレーにおける支障の有無などを具体的に伝えてください。ゴルフのプレー頻度や、スイングの癖なども治療方針を立てる上で重要な情報となります。

次に、患部の触診が行われます。痛む部位を直接触って圧痛の有無を確認したり、肘や手首の関節の可動域、筋肉の張りや硬さを確認したりします。また、特定の動作をしてもらい、痛みが誘発されるかどうかのテストを行うこともあります。

これらの診察に加え、画像診断が用いられることが一般的です。骨や軟部組織の状態を詳細に把握し、他の疾患との鑑別や、症状の原因を特定するために役立ちます。

画像診断の種類主な目的とわかること
X線検査(レントゲン)骨折や骨の変形、石灰化の有無など、骨の状態を確認します。
超音波検査(エコー)腱の炎症や損傷の有無、関節の液貯留などをリアルタイムで確認できます。動的な評価も可能です。
MRI検査(磁気共鳴画像)腱や靭帯、筋肉などの軟部組織の損傷や炎症の程度を詳細に評価できます。他の疾患との鑑別にも有効です。

4.2 保存療法が基本となる治療法

ゴルフ肘の治療は、まずは手術を伴わない保存療法から始めるのが一般的です。症状の程度や原因に応じて、いくつかの治療法が組み合わされて行われます。多くの場合、安静を保ちながら、炎症を抑え、痛みを和らげ、患部の回復を促すことを目指します。

4.2.1 薬物療法(内服薬・外用薬)

痛みが強く、炎症を伴っている場合には、薬物療法が用いられます。炎症を抑え痛みを和らげる非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)が内服薬として処方されることがあります。また、患部に直接作用させるための湿布や塗り薬といった外用薬も有効です。これらの薬は、症状の緩和を目的として使用されますが、根本的な原因の解決にはリハビリテーションなど他の治療法と併用することが重要です。

4.2.2 注射療法(ステロイド・PRPなど)

薬物療法や物理療法などで痛みが十分に改善しない場合や、強い炎症がある場合には、注射療法が検討されることがあります。

  • ステロイド注射
    強力な抗炎症作用を持つステロイドを、痛む部位の腱の周囲に直接注入します。これにより、短期間で痛みを抑え、炎症を軽減する効果が期待できます。しかし、頻繁な使用は腱の脆弱化などを引き起こす可能性があるため、その使用頻度や量には注意が必要です。
  • PRP療法(多血小板血漿療法)
    ご自身の血液から採取した多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma)を患部に注入する治療法です。血小板には組織の修復を促す成長因子が豊富に含まれており、自己治癒力を高めることで腱の修復を促すことを目的としています。比較的新しい治療法であり、専門的な医療機関で提供されています。

4.2.3 物理療法と装具療法

物理療法は、温熱療法、電気療法、超音波療法など、物理的な刺激を用いて痛みの緩和や血行促進、組織の回復を促す治療法です。これらの治療は、筋肉の緊張を和らげたり、炎症を軽減したりする効果が期待できます。

また、装具療法として、肘用のサポーターやバンドを使用することがあります。これらは、ゴルフプレー時や日常生活で肘にかかる負担を軽減し、患部の安静を保つことを目的としています。適切な装具を選ぶことで、痛みの悪化を防ぎ、回復をサポートします。

4.2.4 理学療法士によるリハビリテーション

ゴルフ肘の治療において、理学療法士によるリハビリテーションは非常に重要な役割を担います。痛みがある時期だけでなく、痛みが軽減した後も継続して行うことで、根本的な原因の改善と再発防止につながります。

リハビリテーションでは、まず硬くなった筋肉のストレッチや、弱った筋肉の筋力トレーニングを行います。特に、ゴルフ肘では前腕の屈筋群の柔軟性や筋力バランスが重要視されます。専門家が個々の状態に合わせた適切な運動プログラムを作成し、正しいフォームで実施できるよう指導します。

また、ゴルフスイングの動作分析を行い、肘に負担がかかりにくいフォームの改善指導も行われることがあります。これは、ゴルフ肘の根本的な原因を解決し、再発を防ぐ上で非常に効果的です。自宅で継続できるセルフケアの方法も指導されますので、積極的に取り組むことが回復への近道となります。

4.3 手術療法が検討されるケース

ゴルフ肘の治療はほとんどの場合、保存療法で改善が見られますが、ごく稀に手術療法が検討されるケースもあります。具体的には、半年から1年以上にわたる保存療法を継続しても痛みが改善しない場合や、日常生活に著しい支障をきたすほどの重度の症状が続く場合です。

手術では、痛みの原因となっている炎症を起こした腱の一部を切除したり、腱の付着部を剥がして再付着させたりする処置が行われることがあります。手術の方法は症状や患部の状態によって異なり、専門家が最も適切な方法を判断します。手術後は、適切なリハビリテーションを計画的に行い、機能回復を目指します。手術は最終的な選択肢として、専門家と十分に話し合い、納得した上で決断することが大切です。

5. ゴルフ肘の予防と再発防止のために

ゴルフ肘は一度発症すると、痛みが慢性化したり、再発を繰り返したりする場合があります。そのため、治療によって症状が改善された後も、日々の予防と再発防止に向けた取り組みを継続することが非常に大切です。ご自身の身体とスイングを見直し、適切なケアを心がけましょう。

5.1 自宅でできるストレッチと筋力トレーニング

ゴルフ肘の予防と再発防止には、日々のセルフケアが非常に重要です。特に、ゴルフで酷使される前腕や手首、そして肩周りの筋肉を適切にケアすることで、負担を軽減し、柔軟性を保つことができます。

ここでは、ご自宅で手軽に実践できるストレッチと筋力トレーニングをご紹介します。

5.1.1 ゴルフ肘予防のためのストレッチ

ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進する効果があります。運動前後のウォーミングアップやクールダウンだけでなく、日常的に取り入れることで、ゴルフ肘の予防に繋がります。

  • 手首の屈曲・伸展ストレッチ 腕をまっすぐ前に伸ばし、手のひらを下に向けてください。もう片方の手で指先を下方向に優しく引き、前腕の甲側を伸ばします。次に、手のひらを上に向けて、指先を手前に引き、前腕の内側を伸ばします。それぞれ20秒程度、ゆっくりと呼吸しながら行いましょう。
  • 前腕の回内外ストレッチ 肘を90度に曲げ、手のひらを上に向けてください。そこからゆっくりと手のひらを下向きにし、前腕をひねるように回します。この動きを往復で数回繰り返します。痛みを感じない範囲で行うことが大切です。
  • 上腕三頭筋のストレッチ 片腕を頭上に上げ、肘を曲げて手のひらを背中側に向けます。もう片方の手で、曲げた肘を軽く押さえ、腕の付け根から背中側へ伸ばすようにします。二の腕の裏側が伸びているのを感じましょう。
  • 肩甲骨周りのストレッチ ゴルフスイングは肩甲骨の動きも重要です。両手を組んで背伸びをしたり、腕を大きく回したりして、肩甲骨周りの筋肉をほぐしましょう。肩甲骨の可動域を広げることで、腕への負担を軽減できます。

5.1.2 ゴルフ肘予防のための筋力トレーニング

筋力トレーニングは、軽い負荷で正しいフォームで行うことが重要です。無理な負荷は逆効果になることがありますので、注意しながら実践してください。

トレーニング名目的方法のポイント
リストカール前腕屈筋群の強化手のひらを上にして、軽いダンベルやペットボトルを持ちます。手首をゆっくりと曲げ伸ばしし、前腕の内側を意識して行います。10回から15回を1セットとして、2~3セット行いましょう。
リバースリストカール前腕伸筋群の強化手のひらを下にして、軽いダンベルやペットボトルを持ちます。手首をゆっくりと甲側に曲げ伸ばしし、前腕の甲側を意識して行います。こちらも10回から15回を1セットとして、2~3セット行いましょう。
握力強化グリップ力の安定テニスボールやハンドグリッパーをゆっくりと握り、数秒間キープしてから緩めます。ゴルフのスイング中に無駄な力を入れすぎないためにも、安定した握力を養うことが大切です。
肩甲骨安定化トレーニングスイングの安定性向上チューブなどを利用して、肩甲骨を寄せる動きや、腕を横に開く動きを行います。肩甲骨周りの筋肉を強化することで、腕や肘への負担を分散させることができます。

これらのストレッチやトレーニングは、ゴルフの練習前後のウォーミングアップやクールダウンに取り入れるだけでなく、日常的に継続して行うことで、ゴルフ肘の予防や再発防止に繋がります。

5.2 ゴルフスイングの見直しと専門家のアドバイス

ゴルフ肘は、スイングのフォームや身体の使い方に問題がある場合に発生しやすい傾向があります。特に、手首や肘に過度な負担がかかるようなスイングは、症状を悪化させる原因となります。

5.2.1 ゴルフスイングにおける注意点

ご自身のスイングに、以下のような特徴がないか確認してみましょう。

  • オーバースイング:トップでのクラブの位置が高すぎると、切り返しで肘や手首に大きな負荷がかかります。
  • 手打ちスイング:体幹を使わず、腕の力だけでクラブを振ると、肘や手首への負担が増大します。
  • ダフりやシャンクの多発:インパクト時に地面を叩いたり、クラブのネック部分にボールが当たったりすると、その衝撃が直接肘に伝わります。
  • 過度なグリッププレッシャー:クラブを強く握りすぎると、前腕の筋肉が常に緊張状態となり、疲労が蓄積しやすくなります。

5.2.2 専門家のアドバイスを受けるメリット

ご自身のスイングの問題点を客観的に把握し、改善するためには、ゴルフ指導の専門家にアドバイスを求めることが非常に有効です。

専門家は、スイングの動作解析を通じて、無駄な動きや身体への負担が大きい箇所を特定し、個々の身体能力や体格に合わせた適切なスイングを指導してくれます。例えば、体幹を使ったスイングの習得や、手首や肘に負担をかけにくいインパクトの形などを学ぶことができます。

正しいスイングを身につけることで、飛距離アップや方向性の安定にも繋がり、結果としてゴルフをより長く楽しむことにも繋がります。

5.3 適切なゴルフギア選びとサポーターの活用

ゴルフ肘の予防と再発防止には、ご自身の身体に合ったゴルフギアを選ぶことも大切です。また、プレー中の肘への負担を軽減するために、サポーターの活用も有効な手段となります。

5.3.1 ゴルフギア選びのポイント

クラブの選択は、スイングへの影響だけでなく、身体への負担にも直結します。以下の点に注目して、ご自身に合ったギアを選びましょう。

項目ポイントゴルフ肘への影響
クラブの重さご自身の筋力や体力に合った重さのクラブを選びましょう。重すぎるクラブは、スイング時に手首や肘に過度な負担をかけやすくなります。特に疲労が溜まっている時には、無理なスイングになりがちです。
シャフトの硬さ(フレックス)ヘッドスピードに合った硬さのシャフトを選びましょう。硬すぎるシャフトは、インパクト時の衝撃が直接肘に伝わりやすくなります。柔らかすぎるシャフトも、タイミングが取りにくく、無理なスイングに繋がる場合があります。
グリップの太さ手の大きさに合った太さのグリップを選びましょう。細すぎるグリップは、無意識のうちに強く握りすぎてしまい、前腕の筋肉に負担がかかりやすくなります。太すぎるグリップも、握りにくさから不自然な力が入ることがあります。

ゴルフショップなどで専門のフィッターに相談し、ご自身のスイングや身体特性に合ったクラブを見つけることをお勧めします。適切なギアを使用することで、身体への負担を最小限に抑え、快適にゴルフを楽しめるようになります。

5.3.2 ゴルフ肘サポーターの活用

ゴルフ肘の症状がある場合や、予防のために、肘用のサポーターを使用することも有効です。

サポーターは、肘関節や前腕の筋肉を適度に圧迫・固定することで、スイング時の衝撃を緩和し、筋肉や腱への負担を軽減する役割があります。特に、痛みがある部位をサポートすることで、プレー中の不安感を和らげる効果も期待できます。

選び方のポイントとしては、ご自身の肘のサイズに合ったものを選び、締め付けが強すぎず、長時間の着用でも快適なものを選ぶことが大切です。特に、前腕の筋肉の付着部をピンポイントで圧迫するバンドタイプや、肘全体をサポートするスリーブタイプなど、様々な種類がありますので、ご自身の症状や好みに合わせて選びましょう。

ただし、サポーターはあくまで補助的な役割です。根本的な治療や、上記でご紹介したストレッチ・トレーニング、スイング改善と並行して活用するようにしてください。

6. まとめ

ゴルフ肘は、放置すると症状が悪化し、日常生活やゴルフプレーに支障をきたすことがあります。適切な治療とケアのためには、まずは整形外科、特にスポーツ整形外科の受診を検討することが重要です。専門医による正確な診断と、リハビリテーションを含む総合的な治療計画が回復への近道となります。また、日頃からの予防と再発防止の取り組みも欠かせません。症状を感じたら、早めに専門医に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。