肘の外側が痛い原因は?テニス肘を自分で治すストレッチと予防法

肘の外側が痛いと感じているあなたは、もしかしたら「テニス肘」かもしれません。この痛みは、肘の外側に付着する筋肉の使いすぎによって炎症が起きることで発生することが多く、テニスをしない方にも広く見られます。この記事では、あなたの肘の痛みの原因がどこにあるのかを理解し、ご自身の痛みがテニス肘かどうかを簡単に確認できるセルフチェック方法をご紹介します。さらに、今日からすぐに始められる効果的なストレッチやマッサージ、日常生活での負担を減らす工夫、そして痛みを予防するための運動まで、具体的な対処法と予防策を網羅的に学ぶことができます。もし、ご自身でのケアで痛みがなかなか改善しない場合でも、専門的なサポートを検討すべきタイミングとその目安がわかりますので、この記事を読み終える頃には、あなたの肘の痛みを深く理解し、改善と再発防止への具体的な一歩を踏み出すことができるでしょう。

1. 肘の外側が痛い その原因と病名について

肘の外側の痛みは、日常生活やスポーツ活動において多くの方が経験する症状です。一口に「肘の外側が痛い」と言っても、その原因は一つではなく、さまざまな病名や状態が考えられます。この章では、肘の外側の痛みの最も一般的な原因である「テニス肘」を中心に、そのメカニズムと、それ以外の原因についても詳しく解説していきます。

1.1 テニス肘とは 上腕骨外側上顆炎のメカニズム

「テニス肘」という名前を聞くと、テニスをする人に特有の症状だと思われがちですが、実際にはテニスをしない方にも非常に多く見られます。正式な病名は「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」と言います。

この痛みは、肘の外側にある骨の出っ張り(上腕骨外側上顆)に付着している腱に炎症が起きることで発生します。特に、手首を甲側に反らす動作や指を伸ばす動作を繰り返し行うことで、これらの筋肉の付着部である腱に過度な負担がかかり、微細な損傷や炎症を引き起こすのです。

日常生活においては、フライパンや鍋を持つ、タオルを絞る、キーボードを長時間打つ、重いものを持つ、ドアノブを回すなどの動作が原因となることがあります。特定のスポーツ活動だけでなく、仕事や家事など、手首や指を繰り返し使うあらゆる場面で発症する可能性があります。

テニス肘は、特定の動作によって前腕の筋肉に繰り返し負担がかかることで発症する、肘の外側の痛みです。

主な特徴を以下の表にまとめました。

病名発生部位主な原因
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)肘の外側の骨の突起(上腕骨外側上顆)手首を甲側に反らす、指を伸ばすなどの筋肉の使いすぎによる腱の炎症

1.2 テニス肘以外の原因も知っておこう

肘の外側の痛みはテニス肘が最も一般的ですが、それ以外の原因で痛みが現れることもあります。ここでは、テニス肘と似た症状を引き起こす可能性のある病気や状態をご紹介します。

病名・状態主な特徴・原因
橈骨頭滑膜ひだ障害肘関節内にある滑膜ひだ(関節をスムーズに動かすための組織)が、関節の動きの際に挟み込まれて炎症を起こします。急な痛みや引っかかり感が特徴です。
変形性肘関節症加齢や過去の外傷、使いすぎなどにより、肘関節の軟骨がすり減り、骨が変形することで痛みが生じます。関節の動きが悪くなることもあります。
尺骨神経麻痺(肘部管症候群)肘の内側を通る尺骨神経が圧迫されることで、指のしびれや筋力低下が起こりますが、肘の外側に痛みが放散することもあります。
頸椎疾患からの放散痛首の骨(頸椎)の変形やヘルニアなどにより神経が圧迫され、その影響で腕や肘の外側に痛みを感じることがあります。
上腕骨顆上骨折の後遺症過去に肘の骨折を経験している場合、その治癒過程や後遺症として、肘の外側に痛みが残ることがあります。

これらの原因は、テニス肘と症状が似ている場合もありますが、治療法が異なるため、ご自身の痛みがどのタイプに当てはまるのかを理解することが大切です。

2. あなたの肘の外側の痛みはテニス肘か セルフチェック

2.1 テニス肘の主な症状と痛みの特徴

肘の外側の痛みがテニス肘によるものかどうかを判断するために、まずその特徴的な症状を知ることが大切です。

テニス肘は、主に手首を反らす動作や、指で物を強く握る動作を繰り返すことで、前腕の筋肉が肘の外側にある骨(上腕骨外側上顆)に付着する部分に負担がかかり、炎症が起きる状態を指します。

痛みの場所は、肘の外側にある骨の出っ張り(上腕骨外側上顆)の周辺です。この部分を押すと、痛みを感じることがよくあります。

痛みは、以下のような特定の動作で現れることが多いです。

  • 手首を甲側に反らす
  • 物を掴んで持ち上げる(特に重いフライパンや鍋など)
  • タオルや雑巾を絞る
  • ドアノブを回す
  • キーボードを打つ、マウスを操作する
  • 腕を伸ばした状態で物を持ち上げる

痛みは、最初は動作時にだけ感じる軽いものかもしれませんが、進行すると安静時にも鈍い痛みを感じたり、夜間にうずくような痛みが生じたりすることもあります。

また、前腕の筋肉に沿って痛みが広がったり、だるさを感じたりすることもあります。

症状は突然現れるよりも、徐々に痛みが増していくことが一般的です。

2.2 簡単にできるテニス肘のセルフチェック方法

ご自身の肘の痛みがテニス肘によるものかどうかを、自宅で簡単に試せるセルフチェック方法をいくつかご紹介します。

これらのチェックで痛みが誘発される場合、テニス肘の可能性が高いと考えられます。

ただし、これらのチェックはあくまで目安であり、ご自身の状態を正確に知るためには、専門家にご相談ください。

2.2.1 セルフチェック1:手首を反らす動作

腕をまっすぐ前に伸ばし、手のひらを下に向けてください。

もう片方の手で、痛む側の手首の甲を掴み、手首をゆっくりと下に曲げるように(手の甲をさらに反らすように)力を加えてみてください。

この時、肘の外側に強い痛みを感じるようであれば、テニス肘の可能性があります。

2.2.2 セルフチェック2:椅子を持ち上げる動作(チェアリフトテスト)

軽い椅子(背もたれのないパイプ椅子などが適しています)を用意してください。

手のひらを下にして、椅子の座面の両端を掴みます。

肘を伸ばしたまま、椅子をゆっくりと持ち上げてみてください。

この動作で肘の外側に痛みを感じるようであれば、テニス肘の可能性があります。

2.2.3 セルフチェック3:指を抵抗に逆らって伸ばす動作

痛む側の腕を前に伸ばし、手のひらを下に向けてください。

もう片方の手で、痛む側の中指の甲を掴み、指が下に曲がらないように抵抗をかけます。

その抵抗に逆らって、痛む側の中指を上に持ち上げるように力を入れてみてください。

この時に肘の外側に痛みを感じる場合も、テニス肘の可能性があります。

これらのセルフチェックの結果を参考に、ご自身の症状と照らし合わせてみてください。

以下に、チェック項目とテニス肘の可能性についてまとめました。

セルフチェック項目痛みが誘発された場合
手首を反らす動作で、さらに手首を下に曲げた時肘の外側に痛みがあれば、テニス肘の可能性
手のひらを下にして椅子を持ち上げた時肘の外側に痛みがあれば、テニス肘の可能性
中指を抵抗に逆らって上に持ち上げた時肘の外側に痛みがあれば、テニス肘の可能性

これらのセルフチェックは、肘の外側の痛みがテニス肘によるものかどうかを判断する一つの手がかりとなります。もし複数のチェックで痛みが誘発されるようであれば、ご自身の状態を詳しく見つめ直す良い機会です。

3. 肘の外側が痛い時に自分でできる対処法

肘の外側の痛みを感じたとき、まずはご自身でできる対処法を試してみることが大切です。痛みを和らげ、症状の改善を目指すための具体的な方法をご紹介します。

3.1 痛みを和らげるための基本的な考え方

肘の外側の痛みは、多くの場合、炎症や使いすぎによる筋肉や腱の損傷が原因で起こります。そのため、痛みを和らげるためには、まず患部を休ませることが重要です。

  • 安静にする: 痛みを感じる動作は避け、肘をできるだけ休ませてください。特に、手首を反らせる動作や重い物を持つ動作は控えるようにしましょう。
  • 冷却する: 痛みが強く、熱を持っていると感じる場合は、患部を冷やすことが効果的です。氷嚢や保冷剤をタオルで包み、15分程度を目安に患部に当ててください。炎症を抑える効果が期待できます。
  • 保護する: 肘の外側を保護するサポーターやバンドを使用することで、患部への負担を軽減し、痛みの悪化を防ぐことができます。適切なサイズと強さのものを選び、日常生活での動きをサポートしましょう。

これらの基本的な対処法を実践することで、痛みの軽減と回復を促すことができます。

3.2 テニス肘を改善する効果的なストレッチ

テニス肘の痛みは、前腕の筋肉の緊張や柔軟性の低下が関係していることが多くあります。これらの筋肉をゆっくりと伸ばすことで、血行を促進し、痛みの緩和と可動域の改善につながります。

3.2.1 手首をゆっくりと曲げるストレッチ

このストレッチは、手首を反らせる筋肉(伸筋群)をターゲットにします。テニス肘で最も負担がかかりやすい筋肉です。

  1. 痛む側の腕を前にまっすぐ伸ばし、手のひらを下に向けてください。
  2. もう一方の手で、痛む側の手の甲をつかみ、ゆっくりと手首を下方向(手のひらが体の方を向くように)に曲げていきます。
  3. 前腕の外側に心地よい伸びを感じる位置で、20秒から30秒間キープします。
  4. この動作を2、3回繰り返してください。反動をつけず、ゆっくりと行うことが重要です。

3.2.2 指を広げて伸ばすストレッチ

指を伸ばす筋肉も、テニス肘と関連が深い筋肉です。このストレッチで柔軟性を高めましょう。

  1. 痛む側の腕を前にまっすぐ伸ばし、手のひらを上に向けます。
  2. もう一方の手で、痛む側の指先を包み込むように持ち、ゆっくりと自分の方(手首が手のひら側に曲がるように)に引っ張ります。
  3. 前腕の内側から外側にかけてじんわりと伸びるのを感じる位置で、20秒から30秒間キープします。
  4. この動作も2、3回繰り返してください。痛みを感じる場合は無理をせず、痛みのない範囲で行うようにしてください。

3.2.3 前腕の回旋ストレッチ

前腕を回す筋肉の柔軟性も、肘の負担軽減に役立ちます。

  1. 肘を体側に固定し、90度に曲げます。
  2. 手のひらを上に向けてから、ゆっくりと下に向ける動作を繰り返します。
  3. この際、手首だけでなく前腕全体が回旋することを意識してください。
  4. 無理のない範囲で、ゆっくりと10回程度行い、反対方向にも同じように回旋させてください。

3.3 テニス肘に効くマッサージとツボ押し

前腕の筋肉を優しくマッサージしたり、関連する部位を刺激したりすることで、血行が改善され、筋肉の緊張が和らぎ、痛みの軽減につながることがあります。

3.3.1 前腕の筋肉をほぐすマッサージ

痛みの原因となっている前腕の筋肉を、ご自身で優しくマッサージしてみましょう。

  1. 痛む側の前腕を、もう一方の手で支えます。
  2. 肘の外側から手首にかけての筋肉(特に肘の骨の突起から指2〜3本分下のあたり)を、親指や指の腹を使ってゆっくりと揉みほぐします。
  3. 痛気持ちいいと感じる程度の強さで、円を描くように、あるいは筋肉の繊維に沿って上下に動かすようにマッサージしてください。
  4. 特に硬くなっている部分や、押すと痛みが響く部分があれば、その周辺を重点的に、ただし無理のない範囲で丁寧に行いましょう。
  5. 5分から10分程度を目安に、毎日継続することが効果的です。

3.3.2 肘の外側のツボ押し

肘の外側には、痛みの緩和に役立つとされる部位があります。これらの部位を刺激することで、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進します。

  1. 肘の外側にある骨の突起(上腕骨外側上顆)のすぐ下あたりや、その少し手首側の筋肉の盛り上がっている部分を探してください。
  2. この部位を、もう一方の親指でゆっくりと垂直に押します。
  3. ズーンと響くような感覚や、心地よい痛みを感じる程度の強さで、5秒から10秒間キープします。
  4. これを数回繰り返してください。強い痛みを感じる場合はすぐに中止し、無理はしないでください。

3.4 日常生活で気をつけたい動作と工夫

テニス肘の痛みは、日々の生活の中での無意識な動作や習慣が原因で悪化することがあります。少しの工夫で、肘への負担を減らし、痛みの予防と改善につなげることができます。

3.4.1 重い物を持つときの工夫

重い物を持つ際、手首を反らせた状態で持つと、前腕の筋肉に大きな負担がかかります。

  • 手のひらを上にして持つ: 物を持つときは、手のひらを上に向けて持つように意識すると、前腕の筋肉への負担が軽減されます。
  • 両手を使う: 片手で持てる重さでも、できるだけ両手を使うようにすると、片側への負担が分散されます。
  • 肘を曲げて体に近い位置で持つ: 肘を伸ばしきって持つよりも、少し曲げて体に近い位置で持つ方が、テコの原理で負担が小さくなります。

3.4.2 ドアノブや瓶の蓋を開けるときの注意

手首をひねる動作は、テニス肘に悪影響を与えることがあります。

  • 手首をひねる動作を避ける: ドアノブを回す際や、瓶の蓋を開ける際には、手首だけでなく体全体を使ってひねるように意識してみてください。
  • 道具の活用: 固い瓶の蓋を開ける際には、オープナーなどの補助具を使うことをおすすめします。

3.4.3 パソコン作業時の姿勢と環境

長時間のパソコン作業は、肘や手首に負担をかけやすい状況です。

  • マウスやキーボードの位置: マウスやキーボードは、肘が90度程度に曲がり、手首がまっすぐになる位置に配置しましょう。手首が過度に反ったり、曲がったりしないように注意してください。
  • アームレストの活用: 肘や前腕を支えるアームレストやリストレストを使用することで、肩や肘への負担を軽減できます。
  • 定期的な休憩: 1時間に一度は作業を中断し、簡単なストレッチや休憩を取り入れることで、筋肉の緊張を和らげることができます。

3.4.4 道具の選び方と使い方

スポーツや特定の作業で道具を使用する場合、その選び方や使い方も重要です。

  • 自分に合った道具を選ぶ: テニスラケットやゴルフクラブ、工具など、使用する道具のグリップの太さや重さが自分に合っているか確認しましょう。グリップが細すぎると余計な力が入ってしまい、肘への負担が増えることがあります。
  • 正しいフォームを意識する: スポーツや作業を行う際には、肘に負担のかかりにくい正しいフォームを意識することが大切です。無理なフォームでの繰り返し動作は、痛みの原因となりやすいです。

4. テニス肘の痛みを予防する生活習慣と運動

テニス肘の痛みは、一度改善しても、日々の生活習慣や運動の仕方が原因で再発してしまうことがあります。ここでは、痛みの再発を防ぎ、肘を健康に保つための予防策について詳しくご紹介します。日々の意識と工夫で、快適な生活を取り戻しましょう。

4.1 再発を防ぐための前腕の強化運動

テニス肘の再発を防ぐためには、肘に負担がかかりにくい強い前腕の筋肉を育てることが大切です。特に、手首を反らせる動きに関わる筋肉(前腕伸筋群)をバランス良く強化しましょう。ただし、痛みがある場合は無理に行わず、痛みが落ち着いてから始めるようにしてください。

ここでは、自宅で簡単にできる前腕の強化運動をいくつかご紹介します。

運動名方法ポイント
リストエクステンション手のひらを下にして前腕を机や太ももに乗せ、手首だけを動かして手の甲を天井に向かってゆっくりと持ち上げます。ゆっくりと元の位置に戻します。軽いダンベルやペットボトルを持つと効果的です。手首以外の部分は動かさないように意識してください。反動を使わず、筋肉の収縮を感じながら行います。
リストフレクション手のひらを上にして前腕を机や太ももに乗せ、手首だけを動かして手のひらを天井に向かってゆっくりと持ち上げます。ゆっくりと元の位置に戻します。軽いダンベルやペットボトルを持つと効果的です。肘が浮かないように固定し、手首の動きに集中します。
握力強化運動テニスボールや柔らかいボールを手のひらでゆっくりと握りつぶし、ゆっくりと緩めます。力を入れすぎず、数秒間握ってゆっくりと解放することを繰り返します。指だけでなく、手のひら全体で握る意識を持ちましょう。

これらの運動は、それぞれ10回から15回を1セットとし、2~3セットを目安に、週に2~3回行うのが理想的です。大切なのは、継続することです。無理なく続けられる範囲で、少しずつ負荷を上げていきましょう。

4.2 仕事や家事での負担軽減アイデア

日常生活で繰り返し行う動作は、知らず知らずのうちに肘に負担をかけていることがあります。特に仕事でのパソコン作業や家事での水仕事、重いものを持つ動作は注意が必要です。ここでは、具体的な負担軽減アイデアをご紹介します。

場面・動作負担軽減アイデアポイント
パソコン作業キーボードやマウスの位置を調整し、手首がまっすぐになる姿勢を保ちます。リストレスト(手首置き)を使用するのも良いでしょう。1時間に1回は休憩を取り、軽く手首や指を動かすストレッチを取り入れましょう。
重いものを持つ時片手で持たず、両手で均等に重さを分散させます。肘を伸ばした状態で持たず、肘を軽く曲げて体に近づけて持つようにします。買い物袋などは、複数に分けて持つ、またはキャリーカートなどを活用し、直接的な腕への負担を減らす工夫をしましょう。
調理・掃除フライパンや鍋は、軽い素材のものや持ちやすい形状のものを選ぶと良いでしょう。雑巾を絞る動作は、片手で行わず両手を使うか、柄付きブラシやスプレー式の洗剤を活用します。無理な姿勢での作業を避け、体の軸を使って動くように意識します。
ドアの開閉ドアノブを回す際は、手首だけでひねるのではなく、体全体で向きを変えるようにします。固いドアノブは、滑り止めシートなどを活用して握りやすくするのも有効です。

これらの工夫は、小さなことかもしれませんが、毎日続けることで肘への負担を大きく減らすことができます。自分の生活の中で、肘に負担をかけている動作がないか見直すことが、予防の第一歩です。

4.3 運動時のウォームアップとクールダウンの重要性

スポーツや運動を習慣にしている方は、運動前後のケアがテニス肘の予防に非常に重要です。適切なウォームアップとクールダウンを行うことで、筋肉の柔軟性を高め、怪我のリスクを減らすことができます。

4.3.1 ウォームアップ(準備運動)

運動前に体を温めるウォームアップは、筋肉や関節の動きを滑らかにし、血行を促進します。これにより、急な運動による筋肉や腱への負担を軽減し、テニス肘の予防につながります。

  • 軽い有酸素運動: 5~10分程度の軽いジョギングやウォーキングで全身を温めます。
  • 動的ストレッチ: 腕回し、手首回し、指の屈伸運動など、関節を大きく動かすストレッチを行います。特に前腕の筋肉を意識して、ゆっくりと動かしましょう。

筋肉が温まり、体が軽くなったと感じるまでしっかりとウォームアップを行うことが大切です。

4.3.2 クールダウン(整理運動)

運動後のクールダウンは、運動によって疲労した筋肉をゆっくりと休ませ、柔軟性を回復させるために欠かせません。筋肉の緊張を和らげ、疲労物質の排出を促すことで、翌日以降の痛みを軽減し、怪我の予防にもつながります。

  • 静的ストレッチ: 運動で使った筋肉、特に前腕の筋肉をゆっくりと伸ばします。
    • 前腕伸筋群のストレッチ: 手の甲を下に向け、反対の手で指先を掴み、手首をゆっくりと曲げて前腕の外側を伸ばします。
    • 前腕屈筋群のストレッチ: 手のひらを上に向け、反対の手で指先を掴み、手首をゆっくりと反らせて前腕の内側を伸ばします。

各ストレッチは20秒から30秒かけてゆっくりと伸ばし、呼吸を止めないように意識してください。痛みを感じるほど強く伸ばすのは避け、気持ち良いと感じる範囲で行いましょう。

ウォームアップとクールダウンを習慣にすることで、テニス肘の再発リスクを大幅に減らし、長く安全に運動を楽しむことができます。

5. こんな時は病院へ 専門医の診断と治療

肘の外側の痛みに対して、ご自身でできる対処法やストレッチを試しても症状が改善しない場合、あるいは痛みが悪化している場合には、専門的な診断と治療を受けることを検討してください。痛みを我慢し続けると、症状が慢性化したり、回復に時間がかかったりする可能性があります。

5.1 受診の目安と何科に行くべきか

ご自身の判断で「これはテニス肘だろう」と思っていても、実際には他の病気が原因である可能性も考えられます。以下のような状況が見られる場合は、専門家による診察を受けることを強くお勧めします。

状況受診を検討すべき理由
痛みが全く改善しない、または悪化している場合ご自身でのケアでは対処しきれない炎症が進行している可能性や、痛みの原因がテニス肘以外の場所にある可能性も考えられます。
日常生活に大きな支障が出ている場合物を持つ、ドアノブを回す、タオルを絞るなどの動作が困難になり、仕事や家事、趣味活動に支障が出ている場合は、専門的な介入が必要です。
肘から指先にかけてしびれや脱力感がある場合テニス肘の症状だけでなく、神経が圧迫されているなど、より深刻な問題が隠れている可能性があります。早急な診断が求められます。
強い痛みで夜も眠れない場合安静時にも痛みが強く、睡眠が妨げられるほどの場合は、専門的な痛みのコントロールが必要になります。

このような症状がある場合は、専門的な診断と治療を行う病院の専門科を受診してください。肘の痛みに詳しい専門家が、あなたの症状を詳しく診察し、適切な診断と治療方針を提案してくれます。

5.2 専門的な医療機関での一般的な治療法

専門的な医療機関では、あなたの肘の痛みの原因を正確に特定し、状態に合わせた治療を行います。一般的な治療法は多岐にわたり、保存療法が中心となりますが、症状によっては別の選択肢も検討されます。

5.2.1 診断プロセス

まず、問診であなたの症状や生活習慣、痛みの状況を詳しく聞き取ります。次に、肘の触診や特定の動作を行ってもらい、痛みの部位や程度を確認します。必要に応じて、レントゲン検査で骨の状態を確認したり、MRI検査超音波検査で筋肉、腱、靭帯などの軟部組織の状態を詳しく調べたりすることもあります。これにより、テニス肘だけでなく、他の疾患が原因でないかどうかも鑑別します。

5.2.2 保存療法

多くのテニス肘は、手術をせずに改善する保存療法で対応できます。主な保存療法は以下の通りです。

治療法内容
安静・装具療法痛みの原因となる動作を避け、肘への負担を軽減します。サポーターテーピングを用いて肘を保護し、特定の筋肉の動きを制限することで、炎症の悪化を防ぎ、回復を促します。
薬物療法炎症や痛みを抑えるための内服薬や、患部に直接塗る外用薬(湿布や塗り薬)が処方されることがあります。これにより、痛みを和らげ、回復をサポートします。
物理療法温熱、電気刺激、超音波などを利用して、患部の血行促進や痛みの緩和を図ります。専門家による物理療法は、筋肉の緊張を和らげ、組織の回復力を高める効果が期待できます。
運動療法専門家の指導のもと、肘や前腕の筋肉の柔軟性を高めるストレッチや、筋力を強化するトレーニングを行います。これは、痛みの改善だけでなく、再発予防にも非常に重要です。
注射療法痛みが強い場合や、他の治療法で効果が見られない場合に検討されます。炎症を抑える成分や、組織の修復を促す成分を患部に直接注入する方法です。

5.2.3 手術療法

保存療法を数ヶ月続けても痛みが改善しない場合や、日常生活に著しい支障が出ている場合には、手術療法が検討されることがあります。手術では、傷ついた腱の一部を切除したり、修復したりすることで、痛みの原因を取り除きます。手術は最終的な選択肢として、専門家と十分に相談した上で決定されます。

肘の外側の痛みは、放置せずに適切な対処をすることが大切です。ご自身でのケアで改善が見られない場合は、迷わず専門的な医療機関を訪れ、専門家の診断と治療を受けて、健康な日常生活を取り戻しましょう。

6. まとめ

肘の外側の痛みは、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)が主な原因として考えられますが、それ以外の要因が隠れている可能性もあります。ご自身の症状がテニス肘の特徴に当てはまるか、まずはセルフチェックで確認してみましょう。

もし痛みが軽度であれば、安静にすることに加え、本記事でご紹介したストレッチやマッサージ、日常生活での動作の見直しなど、ご自身でできる対処法を試してみてください。これらのケアを継続することで、痛みの軽減や改善が期待できます。

また、痛みが引いた後も、再発を防ぐための前腕の強化運動や、仕事・家事での負担軽減、運動前の適切なウォームアップとクールダウンを習慣にすることが大切です。日々の小さな心がけが、肘の健康を保ち、快適な生活を送るための鍵となります。

しかし、セルフケアを続けても痛みが改善しない場合や、かえって悪化するような場合は、自己判断せずに整形外科を受診することをおすすめします。専門医の診断を受けることで、正確な原因を特定し、適切な治療法を見つけることができます。

肘の痛みは、放置すると慢性化したり、日常生活に大きな支障をきたしたりする可能性もあります。そのため、早期に原因を理解し、適切な対処と予防を行うことが非常に重要です。

何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。